□僕の初恋 番外編
■おまけ?■
メンバーにチリとなった体を集めてもらい、なんとか復活を遂げたリーダーは、まだハチロクの吐いたガスがパステル調に煙る中をフラフラと下っていった。
何も考えられずに、ただボーっと帰路を辿っていただけなのだが、それでも体が覚えているお陰で何事もなく自宅に帰り着く事ができるのだから、人間とはなんと賢い生き物なんだろう。
背中を丸め、哀愁さえ漂わせながらポストの前でふと足を止めた。
こんな時でさえ身についてしまった習慣通りに行動してしまうのは中里故なのだろう。大抵送られてくるのはダイレクトメールだし、別に毎日郵便物が来るわけでもないのだが、もし急ぎの物だったらと真面目に一通一通開封してしまうところからも生真面目さが窺える。
溜息を短くついて、また今日もろくなものはないだろうなと思いながら中を確認したのだが、そこに入っていた物は手紙ではなかった。
「……え?」
そこにはさっき見たばかりの物と同じ物がそこに入っていたのだ。
そう、慎吾が用意していたと言う、あの赤くラッピングされた箱。
一瞬時が止まってしまった中里だったが、慌ててそれを手に取る。
どうしてこれがここに…?
藤原が置いていったのか…?
「なんだこれ?」
リボンの間に何か挟まっている事に気付いて、抜き取ってみるとメッセージカードとは言えないような紙の切れ端だった。
短い文章が何度か目にした事のある字で書き殴ってある。
〜〜〜バカ毅!もう口利いてやんねーかんな!
酷い内容。酷い字。…慎吾の字。
…でも、これを届けにわざわざここに?
我慢できずに箱を開けてみると、峠で嗅いだものよりも強い香りが広がって、やっぱりあのワッカのチョコが入っていたが、付け足されたように『R』と『T』というアルファベットも入っていた。もしかしたらあの時は崩れてしまって見えなかっただけかもしれないが、もう中里の頭の中から拓海の事はすっかりさっぱり消えていた。
こんなバレンタインチョコは貰ったことねぇぞ?
「これって、俺専用…で、いいんだよな?」
もう気分は奈落の底から天国まで急上昇!なんだかスゴク幸せになった気がして、妙義の野山を駆け回りたい気分だった(Rでじゃなくて、な)
食べるのは惜しい気がして、けれど口にしたくて暫くその場で葛藤した後、自室で観賞用と食用に分けていた…なんて慎吾は知らないだろう。
食べる時に手を合わせたなんてことも。
その後で慎吾が口をきいてくれたかどうかはメンバー達の「今度は冷戦勃発か!?」と言うコメントでご想像願おう…。
さあ!まだまだ頑張れ中里毅!
拓海に勝利する日は来るのか!?
……どうだかなぁ(笑)
END